金利が上昇してきました。日銀発表からの銀行のレスポンスが早すぎてびっくりしました。まぁ銀行も相当苦しいようですので仕方ないのかもしれませんね。
サラリーマン人生においておそらく最大の借金は住宅ローンです。その中でも特に「金利」が気になるのではないでしょうか?
変動にするか固定にするかほとんどの方が悩むと思います。実際には先のことは誰にも分らないので、悩んでもしょうがないんですけど。
さて今回は、銀行から住宅ローンを借り入れる際の金利についての考え方についてまとめます。ただし、金利や借り入れ条件は銀行ごとに異なっており、しかも随時変更されていきますので細かい銀行比較などはせず(まとめサイトが多くありますので)、「住宅ローンに対峙する際の心構え」について個人的主観を紹介します。
これから住宅を購入される方の参考になれば幸いです。
住宅ローン最大の懸念事項「金利」
住宅ローンは借金ですから、当然「金利」を支払う必要があります。キャッシュで買える人には関係ありません(そんな人はこの記事を読んだりしませんが)。
住宅ローンを組む際の注意点の一つに、「タイミング」があります。金利は「その家があなたのものになる月」の金利が適用されます。
つまり、すでに建っている一戸建て(中古、新築どちらも)なら、住宅ローン審査が通って売買契約する時の金利が適用されますが、建築中のマンションや、注文住宅を購入する場合はちょっと注意が必要です。
この場合は不動産会社と売買契約しても、実際に家(マンション)が建つのはもっと先ですから、どのくらいになっているかわからない金利で将来の売買を契約する、ということになります。
もちろん売買契約の際に金融機関の審査はされているでしょうから、金融機関は見込みとして貸し出しの準備をします。「買うことは決定しているが、金利がいくらになるかはその時までわからない」のですね。
考えてみればこれは恐ろしいことです。いくらになっているかわからない先物を(売買価額が決定していない状態で)買うのと似てますね(恐ろしや・・・)。でもこればかりは祈るしかありません。
誰しも「できる限り低い金利で」借り入れをしたいと考えます。あたりまえです。そこで目先の金利にばかり目がいってしまいがちになります。私も初めはそうでした。
金利が変わると返済額はどれくらい変わる?
まず金利が総返済額に及ぼす影響を考えてみましょう。35年固定、借入額3,000万円の場合、以下のようになります。参考までにバブル期の金利である8%の場合も示します。
借り入れ額 | 3000万円 | ||||
---|---|---|---|---|---|
返済期間 | 35年 | ||||
金利(%) | 0.5 | 1.0 | 1.5 | 2.0 | 8.0 |
毎月返済額(ボーナスなし) | 77,875 | 84,685 | 91,885 | 99,378 | 213,078 |
総返済額(元利均等) | 32,711,669 | 35,576,023 | 38,591,335 | 41,755,406 | 89,558,010 |
利息 | 2,711,669 | 5,576,023 | 8,591,335 | 11,755,406 | 59,558,010 |
現在、1.0%以下で35年固定を借りることができる金融機関はありませんので、1.5~2.0%が目安になります(2018年8月時点)。3,000万円借りて35年間で利子が1,000万円前後になりますね。確かに現在の金利は安いです(バブル期を知っているとこういう感想になります)。
金利がバブル期の8%だと恐ろしいことになります。借入額の3倍も返済する必要がありますね。ううむ、やはり金利恐るべし。できるだけ低く借り入れしたいところですね~。
だがしかし。一口に「金利」といっても銀行のシステムは我々一般サラリーマンには複雑で理解しにくいところがあります。一例に2018年8月時点でのみずほ銀行の金利表をみてみましょう。

2種類の金利がありますね。以下に簡単に説明します。
- 基準金利:各銀行で定めた金利の定価(のようなもの)を表します。店頭金利とも呼ばれます。
- 適用金利:基準金利から値引き(優遇)した、実際に適用する金利です。優遇金利とも呼ばれます。
金融機関はこの2種類の金利を使うことで、住宅ローンの金利システムを分かりにくくしています(失敬)。適用金利に幅があるのは、借りる人の信用度や属性によって変わる場合があるためです。
住宅ローンを借り入れる際に我々が選択できるのは次の2つです。
- 変動か固定か
- 返済期間はどれくらいにするか
この重要な「決断」によって、残りの人生の経済状況が左右されますのでビビりますよね~。それでは順に掘り下げていきましょう。
変動金利か固定金利か
変動金利は読んで字のごとく、返済期間中に利率が変わります。通常、変動金利は固定金利より低く設定されています。「金利上昇リスクをあなたが負う代わりにお安くしときますよ~」ってことですね。
この「お安くしときますよ~」の部分が極めて魅力的なため、変動金利を選択する知人が後を絶ちません(笑)。その前の「金利上昇リスクをあなたが負う」の部分を今一度よく読みましょう。
「リスクを負う」とあります。
私は固定金利信者(笑)なので言わせてもらいますが、返済途中で金利が変わるんですよ?上がったらどうすんの?
「下がる場合もあるんだからそうなったらラッキーじゃね?」とか思ったら大間違いです。
ほとんどの場合、上がりはしますが下がりません。変動金利は基準金利が下がらない限り下がらず、この基準金利はここ最近ずっと変化していないのです。
銀行が決めている短期プライムレートという数値が、この「基準金利」に連動しており、これを下げると住宅ローンだけでなく中小企業などに貸し出している金利も下げなければならず、銀行の収益力を悪化させますので下げないんですね。
ですので、金融機関における住宅ローンの変動金利が下がってきた場合、それは金融機関が優遇幅を大きくしているということであって、基準金利が下がったのではありません。
その上、その優遇幅は新規に借り入れる人にのみ適応されるのです。つまりすでに借り入れている人には関係ありません。
金利の優遇幅は銀行の胸三寸で決まりますので、変動金利は借りた時点での値が最小と考えていいでしょう(つまり、借りた時点の金利以下に下がることはほぼない)。
また、金利は半年に一回見直されていますので、変動金利の場合は返済額のうち、元金と利率の割合がコロコロ変わっています。
さらに、急激な金利上昇の際に借りてがパニックにならないよう、以下のルールがあります。
- 返済額は5年に一回のみ変わる(これを5年ルールといいます)
- 返済額が変更する場合、最大で125%までしか増えない(これを125%ルールといいます)
いきなり来月から返済額2倍でよろしく!になったら破滅する場合があるので、5年に一回最大で25%アップ、というルールがあるのです。
もちろん変動金利の値によってはほとんど元金が減らない状況になり得ますし、返済額の最大値が125%になるだけです。
それ以上返さなければいけない場合のオーバー部分をまけてくれるわけでは決してありませんのでご注意を(金利があがればもちろん総返済額が増えます)。
一方、固定金利はこれもまた読んで字のごとく、その期間中の金利は変わらず固定されます。「金利上昇リスクがない代わりに利率が高めでっせ~」ということですね。
さて、この場合も私の周りの知人は「利率が高めでっせ~」の部分しかみません(笑)。もっと「金利上昇のリスクがない」の部分をみんかい!!
利率が高いといっても今の利率(2018年8月時点)は、35年固定でも1.5%前後、3000万円借りて860万円の利息です。ざっくり年あたり24万5千円です。バブル期だと168万円ですが(笑)。
確かに変動金利の低さは魅力的ですが、住宅ローンの返済はリスクとの闘いです。金利が上がり始めたら固定にすればいい、という人がいますが、金利は固定金利から上がっていきます。変動金利が上がり始めるころは固定金利はすでに上がっている可能性が高くなります。
要するに変動金利とは、今後金利が上がらない方に賭ける「超長期トレード」に似ています。もちろん金利が上がっても余裕の経済力があるなら選択肢の一つですが、バブル期の金利に耐えられるのは資産が数億円の超富裕層のみです。
返済期間
返済期間は35年以内で、選択肢の中から自分で設定することができますが、1年間の返済額を考えてしっかりとシミュレーションし、自分にとって適正な返済額になるよう期間を設定すると良いでしょう。
大事なことは、自分の人生設計の中で必要と思われるお金を考え、キャッシュフローが滞ることのないよう準備するとともに、しっかりと働いてローンを返済する覚悟を決めることです。
この「返済期間」は、固定金利にしていれば自分でコントロールできますので、しっかりとライフプランをたてて実行したいところですね。
まずはしっかりと家計簿をつけて、世帯の経済状況を把握し、ライフプランをシミュレーションしましょう。
返済額(借入額)の目安は以下に詳しく述べていますが、1年間の返済額が世帯手取り収入の25%以下だと比較的安心です。ただし、同じく世帯手取り収入の25%を同時に貯蓄できるなら、という条件付きですが。
上記の記事の条件が満たされているなら(年間返済額と同額が貯金されている)、35年ローンを組んだとしても実際には17,8年で完済できるからです(正確には、完済できる額が貯金されている、です)。
世帯手取り年収が分かれば、最大可能借り入れ額が分かります(金利1.5%でシミュレーションしています)。
繰り返しになりますが、住宅は人生最大の買い物です。「銀行が貸してくれるから大丈夫だろう」と過信せず、自分でしっかりとシミュレーションし、無理のない範囲で充実した返済ライフ(笑)を送りたいですね。