先物・オプション

初心者でもわかる日経225オプション解説・第1回:用語説明とオプションの性質

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Gellinger / Pixabay

オプションは現在資金の制限(泣)から1年近く休止中ですが、備忘録の意味も含めて解説したいと思います。オプションって何?という方向けに書きますので、初めての方の参考になれば幸いです。もちろん証券会社のHPや他のブログで詳しく説明されていますが、ここでは実際の売買におけるポイントのみについて紹介したいと思います。

オプションはとにかく「ややこしい」ので、敷居が高いイメージですが、慣れると「おもしろい」と感じるようになりました(私の主観です)。

ここでの説明で、なんとなくイメージしていただければ解説としては成功です。まずは第1回目として、オプションの性質と売買方法について説明します。

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基本は「権利」の売買

 証券会社のHPにはオプションの基本概念など詳細に説明されていますが、初めて読んだ場合かなり難解です。

なぜならオプションは、「権利の売買」であり、例えば「日経平均を○○円で買う権利を○○円で売買できる」と書いてあります。この時点でちょっとわかりにくいですよね? そこで以下の表を使って説明します。

この表は2017年3月10日時点での、4月限のオプションの価格を示しています。株の板情報みたいにみえますね。まずは各用語の説明から。

  1.  月限:オプションの対象月を表しています。満期日(これを期日あるいはSQ日といいます)は毎月第2金曜です。この表は4月に満期を迎えるオプションになります。
  2. 残存日数:満期日までの日数です。4月の第2金曜は4月13日(金)ですので、3月10日時点での残りの日数は30日となります。
  3. 権利行使価額:権利の対象となる日経225の価格です。オプションでは125円刻みとなっています。
  4. コール:対象となる「ある権利行使価額の日経225」を「買う権利」を表します。表示されている数値は、この「買う権利」を「売ったり買ったりするときの価格」です。
  5. プット:対象となる「ある権利行使価額の日経225」を「売る権利」を表します。表示されている数値は、この「売る権利」を「売ったり買ったりするときの価格」です。
  6. 太字部分:現在の日経225(これを原資産といいます)に最も近い権利行使価額です。これをATM(アット・ザ・マネー)といいます。3月10日時点での日経225は19450~19510円くらいでしたので、19500円がATMとなります。コールのATM以下、プットのATM以上のオプションは、すでにそれぞれの権利行使価額に到達している状態ですので、これを「イン・ザ・マネー」といいます。

つまり、オプションとは以下の4つの売買が可能です。

  • 「買う権利」を買う(コール買い)
  • 「買う権利」を売る(コール売り)
  • 「売る権利」を買う(プット買い)
  • 「売る権利」を売る(プット売り)

例えば、図の権利行使価額20500の左の数値50円は、「満期日に日経225を20,500円で買う権利」を「売買するときの価格」となります。

もう一つ図の権利行使価額17500の右の数値16円は、「満期日に日経225を17,500円で売る権利」を「売買するときの価格」となります。

これをそれぞれの権利行使価額におけるオプションのプレミアム(価格)とよびます。実際の値段は、このプレミアムを1000倍します。つまり、コール20500の値段は50円×1000倍 = 50,000円となります。

表では、コールの19125円以下とプットの19875円以上に価格が表示されていませんが、実際にはちゃんと価格があります。

ただ、ATMからかなり下の権利行使価額のコールと、ATMからかなり上の権利行使価額のプットオプションは、ほとんど売買されなくなりますので、ここでは省略します(理由はあとで説明します)。

オプションの売買

 さて、3月10日にオプションを売買して、そのまま満期日まで反対売買せずに保有した場合にその損益はどのようになるのでしょうか(そのまま持っていれば満期日に自動的に清算されます)。まず、3月10日に下記のオプションを建てたとします。

  • コール20000:150円・買い

このポジションを建てて、満期日の日経225が20400円だったとします(満期日当日の寄り付きの日経225が20400となった場合、これをSQ値といってオプションの精算額を決める重要な値となります)。

20000円で買う権利を購入したわけですが、満期日の原資産はそれを400円上回る結果となりました。つまり満期日には20400円で決済されることになりますので、損益は以下のようになります(手数料は無視します)。

  (20400 - 20000 -150(購入コスト))×1000倍 = 250,000円(利益)

SQ値が20800円だった場合には、損益は以下のようになります。

  (20800 - 20000 -150(購入コスト))×1000倍 = 650,000円(利益)

SQ値が、ポジションを建てたオプションの権利行使価額を上回れば上回るほど利益が上がっていきます。SQが20150円だった場合には、損益は以下のようになります。

  (20150 - 20000 -150(購入コスト))×1000倍 = 0円

SQが20000円だった場合には、損益は以下のようになります。

  (20000 - 20000 -150(購入コスト))×1000倍 = -150,000円(損失)

つまり、権利行使価額に購入した際のプレミアムを上乗せした価格(この場合20150円)が損益分岐点になります。つまり、買いで利益を得るためには、満期日のSQ値が、買ったコールの権利行使価額(プラス購入コスト)に対して「イン・ザ・マネー」の状態になっていることが必要になります。

もしSQが19750円だったとしたらどうでしょうか。同じ計算方法だと損益は以下のようになります。

  (19750 - 20000 -150(購入コスト))×1000倍 = -400,000円

40万円も損してしまうことになりますが、実際にはSQが権利行使価額以下となったオプションの権利は「放棄」されますので、150円で買った場合の損失は15万円に限定されます。つまり、オプションの「買い」は損失が購入価格(×1000円)に限定され、利益は無限大となります。

では、コール20000を150円で「売った」場合にはどうなるでしょうか。

SQが19750円だった場合には、プレミアムがゼロになりますから(20,000円になっていないので、誰も買いません)、15万円の利益になります。SQが20,000円でも同じです。

SQが20150円だった場合には、損益は以下のようになります。

  (20000 - 20150 + 150(買いと逆で、受け取り))×1000倍 = 0円

赤字の部分がコール買いのときと順番が逆になっていますね。これが買いと売りの違いです。オプションの売りの場合も買いと同じく、権利行使価額に、売建した際のプレミアムを上乗せした価格(この場合20150円)が損益分岐点になります。損得は逆になります。

オプションの売りの場合は、売った際にそのプレミアム(×1000円)分を受け取ることができることになります。このニュアンスがちょっとわかりにくいかもしれませんが、オプションは「買いで支払い」、「売りで受け取り」と覚えておきましょう。

SQが20400円だった場合には、損益は以下のようになります。

  (20000 - 20400 + 150(受け取り))×1000倍 = - 350,000円(損失)

SQが20800円だった場合には、損益は以下のようになります。

  (20000 - 20800 + 150(受け取り))×1000倍 = - 650,000円(損失)

つまり、オプションの「売り」は、利益が売建した際のプレミアム(×1000円)に限定され、損失が無限大となります。

 「買い」は、プレミアム分を支払えば購入できますが、「売り」は証拠金がないとできません。プレミアムが変動した場合に変わる証拠金を十分に上回る資金で売買する必要があります(←極めて重要です)。

 プットの売りと買いの場合も考え方はコールと全く同様で、満期日のSQ値、オプションの権利行使価額、売買した際のプレミアム、によって損益分岐点が変わります。コール同様、買は損失限定・利益無限大、売りは利益限定・損失無限大、となります。

オプションのプレミアムは変動する

 ここまでで、オプションのプレミアムについて説明しました。我々はこのオプションをあるプレミアムで買ったり売ったりし、そのプレミアムが変動したあとに反対売買することによって利確したり損切をします。

つまり満期日を待たずして売買できるということですね。これは株や先物と同じです(株に満期日はありませんが)。例えばコール20000を150円で買建し、3日後に180円で売れば、(180 - 150)×1000倍 = 30,000円の利益になります。150円で売って180円で買い戻せば30,000円の損失になります。デイトレードも可能です。

このようにオプションのプレミアムは変動します。ただ、株や先物の変動要因は「需給」ですが、オプションの変動要因は需給以外にもいろいろとあります。

この「いろいろ」は大変ややこしくて、数学的要素を多分に含んだオプションの理論を駆使しないと説明できませんし、私も全く理解していません(笑)。

証券会社のHPにもそこまで詳しくは載っておりません(それくらい難しいのです)。そこで、プレミアムの変動にもっとも影響をおよぼす3つの要因について説明したいと思います。

私は実際の売買にはこの3つのみ考慮すればよいと思っていますので(あくまで個人的主観です)、ほかの要因について知りたい方は他のブログなどを参照下さい。

 3つの要因とは、「原資産価格(日経225の価格)」、「時間」、そして「ボラティリティ」です。

要因1:「原資産価格」

 ここでの原資産とは日経225の価格のことです。まず下の表を使って日経225とオプションのプレミアムの関係について説明します(本記事最初の表と同じです)。

表ではコール20000のプレミアムは150円、コール20500のプレミアムは50円です。コールオプションは「買う権利」の売買ですので、現在19500円の日経225が満期日(35日後)までに20000円になる確率と、20500円になる確率では、もちろん20000円になる確率の方が大きいですね。ですので、コール20500に比べてコール20000の方がプレミアムが高くなります。

例えば3月10日の朝9時に日経225が19500円、このときコール20000のプレミアムが150円だったとします。

その後同日昼の日経225が19750円まで上昇した場合、その時コール20000のプレミアムはかなり上昇しています(残りの2つの要因次第ですが、日経225が250円も上がっていれば、コール20000のプレミアムは250~350円くらいにはなっているでしょう)。

これは日経225の上昇によって、「満期日までに20000円になる確率」が上昇したため、コール20000円の権利が行使される可能性が高まり、その結果プレミアムが上昇した、ということになります。

逆に同日昼に日経225が朝に比べて下落すれば、コール20000のプレミアムは下がります。この変動を利用してデイトレードする投資家も多くいます。

以上をまとめると以下のようになります。

  • 日経225の価格が権利行使価額に近づくと、プレミアムは上昇する
  • 日経225の価格が権利行使価額から離れると、プレミアムは減少する

要因2:「時間」

 オプションとは、「権利の売買」であることは述べましたが、上の「要因1」で説明した原資産価格が変動しなかったとしても、オプションのプレミアムは時間とともに下がっていきます。

「時間」というよりは、「満期日までの残存日数」によって変化します。コール20000を例に考えてみましょう。

満期日の1週間前と5週間前において、どちらも日経225が19500円だったとします。このとき、満期日に日経225が20000円になる確率は、5週間前の方が満期日まで時間がたっぷりあるため、1週間しかない状態より高くなりますね。

原資産が変動しなければ、5週間前に150円だったコール20000のプレミアムは、1週間前には30円くらいに下がっているでしょう(要因3によって異なりますが)。

このようにオプションのプレミアムには時間的価値が上乗せされているので、他の運用商品にはないダイナミックな売買が可能になります。

具体的には、「買い」で勝負する場合、残存日数がたっぷりあるうちに買うことは「支払いが大きい(プレミアムが高い)」ときに参戦するということになり、同じ権利行使価額で残存日数がほとんどないときに買うことは「支払いが小さい(プレミアムが低い)」ことになるのでコストは下がりますが、「権利行使できる確率」は大きく下がっています。

逆に「売り」で勝負する場合、残存日数がたっぷりあるうちに売ることは「受け取りが大きい(プレミアムが高い)」ときに参戦するということになり、同じ権利行使価額で残存日数がほとんどないときに売ることは「受け取りが小さい(プレミアムが低い)」ことになりますが、残存日数が少ないため、満期日にプレミアムがゼロになる確率は高く、したがって勝率が高くなります。

以上をまとめると以下のようになります。

  • 残存日数が多いときに買う

プレミアムの時間的価値が大きいため最初の支払いコストが大きいが、残存日数が少ない場合に比べて満期日に権利行使できる確率は高い。

  • 残存日数が少ないときに買う

プレミアムの時間的価値が減少しているため最初の支払いコストは小さいが、残存日数が多い場合に比べて満期日に権利行使できる確率は低い(つまり、勝率は低い)。

  • 残存日数が多いときに売る

プレミアムの時間的価値が大きいため受取額が大きいが、残存日数が少ない場合に比べて満期日に権利行使価額に到達してしまう(つまり、損をする)可能性が高い。

  • 残存日数が少ないときに売る

プレミアムの時間的価値が小さいため受取額が小さいが、残存日数が多い場合に比べて満期日に権利行使価額に到達してしまう(つまり、損をする)可能性は低い(つまり、勝率は高い)。

この4つの傾向を理解しておけばOKではないかと思います。

要因3:「ボラティリティ」

 最後の要因です。このボラティリティは「相場の盛り上がりの程度」と思えばイメージしやすいのではないかと思います。

たとえば上の例と同様に、3月10日の朝9時の日経225が19,500円だったとして、10時に19,000円まで暴落し、その後11時に19,800円まで急回復したあと、12時に再び19,500円に戻っていたとしましょう。

結局同じ価格になっていますが、3時間で上下300円~500円も変動しています。これくらい乱高下した場合、3時間で50円くらいしか動かなかった場合と比べて、満期日に日経225が20000円に到達する可能性は高くなりますね。

このように大きく変動していると、相場の盛り上がりを表すIV(インプライド・ボラティリティ)という数値(パーセントで表されます)が大きくなり、オプションのプレミアムも上昇します

逆に相場が落ち着いているとIVが下がり、プレミアムは小さくなります。一般に相場が落ち着いている場合にはIVはおよそ15%前後、一日で500円くらい乱高下すると、30%を超えてくる場合があります。

以上をまとめると、以下のようになります。

  • 日経225が乱高下するとIVが上がり、プレミアムは上昇する
  • 日経225が落ち着いているとIVが下がり、プレミアムは減少する

この「IV」は、3つの要因のうち最も気を付けなければなりません。オプショントレーダー殺しのパラメーターです。

なぜなら、IVは暴落時に最も大きくなりやすく、プットを売っていた場合は超絶含み損となり、一発追証→退場コースとなるからです。

年に数回、IVが30%を超えるクラスの急落があります。常に備えているかが問われる瞬間です。無茶な資金管理をしていると、即退場となりますので証拠金には十分に注意しましょう。

以上の3つがオプションのプレミアムを変動させる主な要因となっています。これらの要因に考慮してオプションの戦略を立てることになります。

例えば、1つの権利行使価額に対して単独でオプションを売買する場合には、3つの要因それぞれについて以下のことに注意すれば勝率が高くなります。

  • 「買い」の場合(基本的に勝率は低いですが、一発当てれば満塁ホームランになります)

原資産価格:満期日に権利行使できる(日経225がイン・ザ・マネーになる)と予想できる権利行使価額でポジションを建てる。

時間:満期日に権利行使できる(日経225がイン・ザ・マネーになる)と予想できる時期(残存日数)にポジションを建てる。

ボラティリティ:購入コストを下げるため、IVが低い時にポジションを建てる。

  • 「売り」の場合(基本的に勝率は高いですが、一撃で逆転サヨナラホームランを食らう場合があります)

原資産価格:満期日に日経225がイン・ザ・マネーにならないと予想できる権利行使価額でポジションを建てる。

時間:満期日に日経225がイン・ザ・マネーにならないと予想できる時期(残存日数)にポジションを建てる。

ボラティリティ:受け取り価格を上げるため、IVが高い時にポジションを建てる。

オプションでは、「プレミアムの時間的価値の減少」が他の投資商品にはない特徴です。この時間的価値は満期日のおよそ2週間前くらいから減少の度合いが大きくなり、満期日を迎える週に入ると急激に減少していきます(イン・ザ・マネーになっていない権利行使価額のオプションのプレミアムが急激にゼロに近づいていきます)。

私はだいたい満期日の2週間前あたりでポジションを建てることにしています(もちろん相場次第ですが)。

まとめ

日経225オプションの性質は非常に複雑でわかりにくいかもしれませんが、上記のポイントさえつかんでおけばさほど難しいものでもありません。

基本的に権利行使価額にそれぞれプレミアムがあり、投資家はこのプレミアムを売買するわけですが、株と同様に「安いところで買って高いところで売る」、「高いところで売って安いところで買い戻す」というアクションが可能ですので、デイトレやスイングを行うこともできます。

プレミアムの値は、「満期日までにその価額に到達する可能性」によって決まります。これを決定づけているのが、原資産価格、時間、ボラティリティ、の3つとなります。

他のデリバティブにはない「時間」の概念が入っているのがちょっとややこしいですが、逆に言えばこの「時間」が225オプションの売買を魅力的な投資商品にしていると言えます。

注意点としては、株や先物に比べて225オプションのリスクは大きく、くれぐれも「証拠金維持率」に最大の注意をはらって売買に臨みましょう。

繰り返しになりますが、「買いは打率の悪い満塁ホームラン狙い」、「売りは打率は高くヒット連発、ただし資金管理を誤ると逆転サヨナラ負けで退場」です。肝に銘じておきましょう。

第1回は以上になります。その他の225オプション解説は以下の通りです。

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