先物・オプション

初心者でもわかる日経225オプション解説・第3回:スプレッドとショートストラングル

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オプションには多くの合成ポジションがあります。今回はその中でも特によく用いられる2つのポジション、コール(プット)スプレッドとショートストラングルについて、例を用いて説明します。

これら2つは非常に勝率の高いポジションですが、相場と証拠金管理状況によってリスクは大きく変動します。ハイリスク商品であることを肝に銘じて運用するようにしましょう

それぞれのポジションの戦略、性質、注意点についてまとめます。

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例:2017年4月限

まず、2017年3月10日(金)と3月17日(金)の4月限のプレミアムを比較してみましょう。1週間でプレミアムはどのように変化したのでしょうか。

まず原資産価格である日経225ですが、この1週間で19490円 → 19370円と少し下がっていますので、ATM(アット・ザ・マネー)は19500 → 19375と変化しています(図中では太字)。

またIVは13.5% →12.8%とこちらも少し下がりました。まったく相場は盛り上がってないですね。プレミアムはというと、コールは軒並み下がり、およそ半分以下となっています。

これは1週間分の時間的価値の減少、原資産価格の下げ、IVの下げのトリプルパンチを食らったためです。もし先週コールを裸買いしていた場合は大きく損失を被っていたことになります。

一方プットは原資産価格に近いプット19375以上は若干プレミアムが上昇しています(ATMにインしたためです)が、あとは下げており、プット17750以下はコール同様半分以下となっています。

今回のプットの変動要因のうち、上昇に寄与するのは原資産価格の下げのみですが、100円ちょっとの下げであるため寄与はさほどでもないということです。時間的価値の減少とIVの低下がそれを上回っているためプレミアムが減少しています。

 

それでは3月10日にスタンダードな合成ポジションをいくつか建てたとして、それらが1週間後にどのような損益になっているのか見てみましょう。

プットスプレッド

これは権利行使価格の間隔を空けて買いと売りを建て、時間がたつのを待つ(売りの枚数を買いより増やし、トータルで「受け取り」とします)、という戦略です。具体的には以下のポジションになります。楽天RSS(リアルタイムスプレッドシート)を使ったエクセルデータです。

表の左から順にポジションを建てた日、月限、プット(P)、権利行使価額、枚数(マイナスは売りを表します)、売買価格、現在値(成行で決済した場合の約定見込み価格を示していますので、最良値と書いています)、満期日まで持っていた場合の損益(行使、と書いています)、それぞれのポジションの損益、合計含み損益、となっています。

3月10日にプット17500を17円で1枚買い、プット17250を10円で3枚売っています。満期日まで持っていてプット17250がイン・ザ・マネーにならなければ(つまり日経225が17,250円以下にならなければ)13,000円の利益となり(プット17500はもちろんインしてOKです)、現在の含み益が2,000円、ということを表しています。

ATMから離れれば離れるほど(これをアウト側、といいます)プレミアムは下がりますので、売りを3倍にしてトータルを「受け取り(13,000円)」にしているということになります。

また、売りより権利行使価額の高いところで買いを入れ、売り3枚のヘッジとしている、ということにもなります。間隔を空けて売り買いをするので、「スプレッド」といいます。

3月10日時点で原資産は19500円でしたから、2,250円下の権利行使価額で売りポジションを建てていることになり、1ヶ月で2,250円下がるとは考えにくいため勝率の高いポジションになります。

ポジションを建てたあとは証拠金に注意しながらまったりと待ちましょう。もちろん大きく日経が下げていれば、売り3枚がドカンと上がるためかなりの含み損となります。

それでも満期日にプット17250がインしないと考えるなら、含み損に耐えながら満期日を待つ、ということになりますが、損切ラインは必ず決めておきましょう。私の場合、含み損が満期日での受け取り額(この場合は13,000円)の3倍(39,000円)になったら損切します。

コールスプレッド

上のポジションはプット側なので「プットスプレッド」ですが、コール側だと「コールスプレッド」となります。例は以下の通りです。

コール21000を19円で1枚買い、コール21250を9円で3枚売っています。満期日まで持っていてコール21250がイン・ザ・マネーにならなければ(つまり日経225が21250円以上にならなければ)8,000円の利益となり(コール21000はもちろんインしてOKです)、現在の含み益が2,000円、ということを表しています。

こちらの満期日での受け取りは8000円とプットスプレッドより少ないですが、これは基本的にコール側のプレミアムはプットより低いからです。

3月10日時点でのATM(19,500円)からみると1,750円高いところで売りポジションを建てていることになり、ここ最近の値動きからは1ヶ月で1,750円上がるとは考えにくいため、こちらも勝率の高いポジションとなります。ただしプットの場合と同じく損切ラインは必ず決めておきましょう

ショートストラングル

これはコールとプットそれぞれを売るのみのポジションとなります。原資産価格が上がるとコールのプレミアムは上昇して含み損となりますが、プットはプレミアムが下がるため含み益となります(もちろん時間やIVの影響を受けます)。お互いがヘッジの役割をになっているわけです。以下が例のポジションです。

コール21250とプット17250をそれぞれ10円で1枚ずつ売っています(上記のスプレッドポジションで売った権利行使価額と同じです)。

3月10日に比べて原資産価額は少し減少していますが、1週間分の時間的価値の減少とIV低下により、どちらの売りポジションも含み益となっていてトータルでスプレッドよりも大きい含み益となっていますね。

買いのヘッジを入れていないため、枚数は1枚ずつであるにも関わらず満期日の受け取り価格が大きくなっています(20,000円)。

それぞれの権利行使価額はポジションを建てた時点においてATMからかなり離れているため、このショートストラングルポジションも勝率が高くなっています。

売りのみなので受け取り額が大きいためオプショントレーダーには大人気のポジションですが、証拠金が高くなります(証券会社によっては買いポジションを入れることで証拠金が緩和される場合があります、詳細は別記事にて)。

また、暴騰、暴落によって大きく原資産が動いたりIVが30%以上になったりした場合は膨大な含み損を抱え、あっという間に追証を食らってしまう場合があり、かなり危険なポジションであるともいえます。

95%の確率で勝つが、証拠金に余裕をもって臨まなければ5%の確率で追証もしくは退場となる、と覚えておきましょう。

まとめ

オプションは基本的に買いの勝率が5%以下、売りはその逆で95%くらいです。よって基本戦略はほぼ「売り」がベースとなり、「時間的価値の減少によるプレミアムの減少を利益に変える」のが基本ということになります。

ただし上にも述べたように、「売り」は証拠金がかかるため資金に余裕を持たせる必要があります。最低でも入金額の30~50%以下の証拠金でポジションを建てることをお勧めします

長く持てばもつほど時間的価値の減少の恩恵を受けられますので満期日まで持っていたくなりますが、適度な含み益で決済した方が危険度は下がりますので、損切ライン同様決済ラインも決めておくとよいのではないでしょうか。

私の場合、売りポジションの最良値が1円(成り行きで1円で決済できる状態)になったら決済しています。

その他の225オプション解説は以下の通りです。用語から知りたい方は第1回からどうぞ。

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