「One Tap BUY(ワン・タップ・バイ)」というスマホ証券があります。「証券」のつかない証券会社です。スマホのみですべての売買が完結し、だれでも簡単に小額から株の取引ができます。私もアメリカ株の積み立て投資を始めています。
One Tap BUYの特徴、メリット・デメリット、実際の使い勝手などについてまとめます。
目次
One Tap BUYの特徴
One Tap BUYはソフトバンク、みずほフィナンシャルグループ、モバイル・インターネットキャピタル、DBJキャピタル、オプトベンチャーズ、三生キャピタル等から出資を受け運営されています。大企業の資本が入っていると安心ですね。
入金された資金はみずほ信託銀行によって保管・管理され、信託財産は信託法によって保護されます。
事故などの最悪の場合でも投資者保護基金により、一人あたり1,000万円までの資産が保護されます。
運用資産の少ない私には1,000万円の保全でまったく問題ありません。
金額ベース・小額での取引
従来の証券会社での株の購入は100株、1000株などの単元株数単位にて購入しますが、One Tap BUYでは金額単位での購入が可能です。
最低購入金額はなんと1,000円です!
通常の証券会社では、株価によっては最低購入金額が100万円を超える場合があります。株価にかかわらず小額から取引できるのはうれしいですね。一般サラリーマンにやさしいシステムです。
また、One Tap BUYはスマホ専用証券です。PC取引サイトもありますが、スマホのみで購入、積み立て設定、売却などのすべての取引が完結します。
スマホアプリのインターフェースも見やすく、優れた操作性が実現しています。個人的には、アメリカ個別株のアイコンがCEOの顔写真なのが気に入っています。

日本と米国市場で取引可能
One Tap BUYでは日本株、日本株ETFおよび米国株が取引できます。日本株は2017年7月24日から取引可能になりました。
日本株では、日本を代表する企業30社の株式を購入できます。通常の単元株での取引だと購入に数百万円の資金が必要となる企業の株でも1,000円から取引できます。
日本株ETFでは、日経平均株価に連動した3種類のETFを取引できます。リスク分散が可能なETFを少額で売買可能です。
米国株では、NY証券取引所とNASDAQで取引されている30銘柄を取引できます。革新的なモノやサービスを世界に提供している優良企業です。
米国株では会社(One Tap BUY)が株をストックし、それらを分割して売買するシステムなので、原則として24時間いつでも売買できます。日本の平日や土日でも購入、売却が可能です。売買の相手方が、個別企業ではなくOne Tap BUYとなります(相対取引)。
一方、日本株と日本株ETFの取引時間帯は市場開場日の9:00-14:59までとなっています。
取引コスト
One Tap BUYは取引コストも最安水準です。日本株の購入手数料は、購入時の基準株価の0.5%で、最低金額1,000円でのコストは5円となります。大手ネット証券に引けをとらない安さですね。
米国株の場合は、上記に加えて為替交換手数料が100円あたり0.35円発生します。最低購入金額1000円だと3.5円ですね。
また、売買はいつでも可能ですが、NY証券取引所が閉まっている間は購入手数料が基準株価の0.7%にアップしてしまいます。
したがって、米国株の場合、NY証券取引所が開いている間のコストは1,000円あたり5+3.5=8.5円、NY証券取引所が閉まっている間だと、7+3.5円=10.5円となります。
米国株についても大手ネット証券と同等か、それ以下の水準のコストとなっています。ただしアメリカ個別株の購入は、NY市場の開場している時間帯にしましょう。
取り扱い株
日本株
2017年7月24日から、One Tap BUYでの日本株の取り扱いが始まりました。
売買には、ほふり(証券保管振替機構)への登録が必要です。すでに米国株の取り引きをスタートしていた場合には、アプリを起動すれば登録画面へ遷移しますので、必要事項を確認して登録申請すれば、約3日程度で売買が可能になります。
以下の30社の株式を売買することができます。
銘柄名 | 銘柄コード | 業種 |
---|---|---|
積水ハウス | 1928 | 住宅製造販売 |
明治ホールディングス | 2269 | 食品製造 |
キリンホールディングス | 2503 | 酒類製造 |
セブン&アイホールディングス | 3382 | コンビニエンスストア&商業施設運営 |
花王 | 4452 | ヘルスケア商品製造 |
武田薬品工業 | 4502 | 医薬品製造 |
オリエンタルランド | 4661 | テーマパーク運営 |
ヤフー | 4689 | Web検索・ポータルサイト運営 |
楽天 | 4755 | ECサイト運営 |
資生堂 | 4911 | 化粧品製造 |
ブリヂストン | 5108 | 自動車タイヤ製造 |
TOTO | 5332 | 住宅設備機器製造 |
リクルートホールディングス | 6098 | 情報提供サービス・情報誌発行 |
パナソニック | 6752 | 家電製造 |
ソニー | 6758 | 家電製造 |
キーエンス | 6861 | 精密機器製造 |
ファナック | 6954 | 産業用ロボット製造 |
村田製作所 | 6981 | 精密機器製造 |
日産自動車 | 7201 | 自動車製造 |
トヨタ自動車 | 7203 | 自動車製造 |
本田技研工業 | 7267 | 自動車・オートバイ製造 |
良品計画 | 7453 | 生活必需品製造販売 |
キヤノン | 7751 | カメラ・光学機器製造 |
任天堂 | 7974 | ゲーム機・ゲームソフト製造販売 |
ユニ・チャーム | 8113 | 衛生用品製造 |
みずほフィナンシャルグループ | 8411 | 銀行業 |
ヤマトホールディングス | 9064 | 運送業 |
セコム | 9735 | 警備 |
ニトリホールディングス | 9843 | ホームセンター運営 |
ファーストリテイリング | 9983 | 衣料品製造販売 |
日本株ETF
以下の3つのETFを売買することが可能です。
・225投信(日経225連動型上場投資信託)
225銘柄へ分散投資するため個別銘柄に比べて低リスクです。225先物の証拠金は40~60万円程度(225先物miniは10分の1)ですが、One Tap BUYでは1,000円から投資可能です。
・日経レバETF(日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投資信託)
日経平均が上がっても下がっても、このETFはその2倍変動します。リスクもリターンも倍になるということですね。
値動きが大きいため、短期売買向きです。相場の短期的な見通しに自信がある場合に選択肢になります。
・日経インバETF(日経平均インバース・インデックス連動型上場投資信託)
日経平均と全く逆の動きをします。日経の下落を予想するなら買い、上昇を予想するなら売ることになります。
日本市場が軟調であると予想できる場合に選択肢になります。先物のヘッジにも使えるかもしれませんね。
日経レバETFと日経インバETFは、どちらも前日価格に対して変動するため、営業日が2日以上離れると騰落率がずれてきます(ちょうど2倍やマイナス1倍にならなくなります)。
したがって長期に保有するとそのずれが大きくなり、期待値が下がってくるため、短期~中期の戦略として考えましょう。
米国株
NY証券取引所とNASDAQで取引されている銘柄のうち、革新的発明をしたり生活水準の向上を実現した企業や、日本人にとってネームバリューの大きい優良企業30社の株式を取り扱っています。
以下の30社の株式を売買することができます。
銘柄名 | ティッカー※ | 業種 |
---|---|---|
アマゾンドットコム | AMZN | オンライン販売会社 |
アップル | AAPL | パソコンメーカー |
アルファベット | GOOGL | サーチエンジン「Google」・プロバイダー |
ボーイング | BA | 航空機メーカー |
キャタピラー | CAT | 重機メーカー |
シスコシステムズ | CSCO | データネットワーク製品メーカー |
コーチ | COH | 総合ファッション企業 |
コカコーラ | KO | 清涼飲料メーカー |
コストコ | COST | 会員制倉庫型店舗 |
ウォルトディズニーカンパニー | DIS | エンターテインメント会社 |
エクソンモービル | XOM | 石油化学メーカー |
フェイスブック | FB | ソーシャルネットワーク・ウェブサイト運営会社 |
ギャップ | GPS | 衣料小売専門会社 |
GE | GE | 技術・メディア・金融サービス会社 |
ゼネラル・モーターズ | GM | 自動車メーカー |
エイチピー・インク | HPQ | コンピューターメーカー |
IBM | IBM | コンピュータ関連の製品およびサービス |
インテル | INTC | 半導体メーカー |
クラフトフーズ | MDLZ | 飲食料品会社 |
マクドナルド | MCD | ファーストフードチェーン |
マイクロソフト | MSFT | ソフトウエアメーカー |
ナイキ | NKE | スポーツ用品会社 |
P&G | PG | 家庭用化学品メーカー |
ファイザー | PFE | 医薬品会社 |
スターバックスコーポレーション | SBUX | 自社ブランドコーヒーの小売販売会社 |
タイムワーナー | TWX | メディア・エンターテインメント会社 |
ツイッター | TWTR | ミニブログサービス |
ビザ | V | 国際決済サービス |
ゼロックス | XRX | オフィス機器メーカー |
*ティッカーとは、取引所で使われる「銘柄を表す符号」です。
初心者にもやさしい情報提供
One Tap BUYはスマホのみですべての売買が完了し、その優れたインターフェースによって株式売買の敷居が下がっていると言えます。
さらに小額取引が可能であることから、初心者でもストレスなく売買が可能となるようユニークな情報提供も行っています。
One Tap BUYのアプリには、株式投資の基本から各種銘柄の説明までわかりやすく学べる無料マンガのコンテンツが用意されており、スキマ時間に投資の勉強をすることができます。

特にETFや積み立て投資の説明はビギナーにもわかりやすく、通勤電車の中でサクッとお勉強が可能です。
また、企業情報に関するニュース配信もされており、個別銘柄情報やOne Tap BUYでの人気銘柄情報についてもアプリから通知されます。
忙しくて雇用統計などを忘れてしまう場合がありますので、アプリ通知は重宝しますね。
小額から積み立てが可能な「積み株」

One Tap BUYでは、株式の自動積み立てシステムが提供されています。
「将来の夢に向かってコツコツと、成長資産である株式を積み上げる」というコンセプトのもと、株式を一定のタイミングで自動購入してくれます。
下記の通り毎月・毎週・毎年、の中から1つ選び、購入のタイミングとして設定します。
購入の時間帯は以下となります。
- 指定日の翌日の深夜0時以降
- 指定日が休場の場合、次の会場日の深夜0時以降
- 指定日がない場合(毎月31日に指定した場合など)、その月の末日の深夜0時以降
例えば毎週月曜日を指定した場合、火曜午前0時以降に購入されます。この時間帯は米国市場が開いていますので、基本的に在庫切れはありません。
積み立て株の売却は原則として24時間365日可能です。積み立ての終了もスマホアプリで行うことができ、設定を保存したままの「休止」と、設定を削除する「終了」が選択できます。どちらも設定した翌日以降の購入から適用されます。
また、積み立てプランには名前をつけることができます。「住宅購入の頭金」など、好きな名前をつけられます。複数プランの設定も可能です。
指定日において売買するためには、指定口座にあらかじめ必要金額を入金するか、必要金額以上の残高のあるみずほ銀行の普通預金口座から連携(「銀行においたまま買付」というサービスです)すると自動で決済されます。
「銀行においたまま買付」サービスの利用もアプリから設定可能です。一度連携すれば、個別株の売買の際にも自動引き落としされます。スマホで完結するのは便利ですね。
以下の場合、買い付けができない場合があります。
- 指定日に現金残高が不足する場合(口座入金、銀行においたまま買付どちらも):積み株の場合、口座残高が設定銘柄の投資額の合計未満の場合、すべての銘柄の買付が停止します。
- 買い付け指定日の翌営業日の深夜0時に株価・為替レートが取得できなかった場合:積み株の場合、設定銘柄のどれか1つでも株価・為替レートが取得できないと、すべての銘柄の買付が停止します。
スマホアプリ
One Tap BUYには現在、以下の3つのスマホアプリがあります。

日本株アプリでは、「日本の上場株」と「まるごと日本株」が選べます。上記に紹介したとおり、日本の上場株は30社の日本株を、まるごと日本株は3つの日本株ETFを売買できます。
米国株アプリでは、「個別アメリカ株」と「まるごと日本株」が選べます。個別アメリカ株は30社の米国株を、まるごと日本株は日本株アプリと同じで3つの日本株ETFを売買できます。
日本株アプリとアメリカ株アプリの両方に「まるごと日本株」があります。ちょっとややこしいかもしれませんが、内容はまったく同じです。
日米の好きな方を選択し個別株を売買するとともに、日本の株価指数にも投資できるといったスタンスですね。
積み株では、個別アメリカ株のみが対象となっています。個人的には、積み株に日本の個別上場株が登場する日を楽しみにしています。
口座、配当、入出金
One Tap Buyの口座は「特定口座(源泉徴収あり)」のみとなります。証券会社により代理で納税され、確定申告の必要はありません。
損失がでていて他社での損益と通算したい場合には、「年間取引報告書」に書かれた数値を申告書に転記し、確定申告する必要があります。
配当金については、米国株の場合、所有する株数に応じて米ドルで支払われた後、日本円に転換され口座の現金残高として反映されます(1円未満切り捨て)。
日本株の場合、所有する株数に応じて取引口座の現金残高として反映されます(株式数比例配分方式)。
ETFの場合、所有する株数に応じた配当金(分配金)が取引口座の現金残高として反映されます。
口座への入金は振込となります。「銀行においたたま買付」サービスの利用時は、残高があればそのまま買付が可能です。
ただし、「銀行においたたま買付」サービスを利用する場合は注文1回あたり108円(税込み)の手数料が別途かかります(2017年9月末までは無料)。
他行からみずほ銀行の指定口座に入金した場合、銀行の営業時間内であれば約1時間以内に口座の残高として反映されます。
営業時間外だと翌営業日の午前10時半ごろまでに残高として反映されます。
出金はスマートフォンまたはPC画面から簡単に行うことができます。銀行の営業時間内であれば約1時間後には指定口座に出金されます。
口座開設
口座開設はOne Tap BUY公式サイトから簡単に行うことができます。申し込みフォーム入力後、本人確認書類をアップロードすれば申し込み完了です。

申し込み後、指定住所に届いたID・PASSでアプリにログインする、といった流れになります。
私の場合は5日後に開設通知のメールが届き、その後3日で書類が届きました。口座開設申し込みから8日で売買スタートとなりました。
まとめ
One Tap BUYは、日本株、日本株ETFおよび米国株を1,000円から売買できるスマホ証券です。
単元株ではなく定額購入であることから、小額からの積み立て投資に向いています。「積み株」がこれに相当します。米国株に対して「ドルコスト平均」による資産運用を適用できます。
アプリのインターフェースも扱いやすく、ポートフォリオや積み立て資産の増減などが視覚的に見やすく設計されており、初心者の方にもなじみやすいと思います。
日本株、米国株はそれぞれ30社の株を取り扱っています。いずれも国内、国外において存在感を示す優良企業です。
ETFは日本株のみですが、比較的低リスクの分散小額投資として位置づけられ、アクティブに運用したい方向けの日経レバ・インバといったラインナップもあります。
口座開設、入金および出金についても非常に簡単に行うことができ、購入・売却・出金はすべてスマホのみでサクッと完結します。
One Tap BUYで特に私がお勧めなのは、小額からの「積み株」です。初心者でいきなりアメリカ株、しかも為替コストもかかる!と思うかもしれませんが、10万円以下の小額で分散投資していれば日々の変動は数百円程度ですので、ストレスフリーでほったらかしが可能です。
積み立ては長期運用が前提ですので、コツコツと保有株数を増やして配当ももらいつつ、優良企業を応援しながら資産形成していきましょう!
米国株の場合は為替の影響を受ける点がデメリットの一つですが、半年ほど積み立てた感触では、円高では購入のチャンスととらえることもでき、小額投資ならではの安心感があります。24時間いつでも売買が可能である点もメリットです。
1年間積み立てた結果と所感はこちらから。
株の購入ですので、もちろん配当金ももらえます。